最高裁判所第三小法廷 昭和29(あ)146 判決
主 文
本件各上告を棄却する。
理 由
被告人A、同B両名の弁護人宮崎忠義の上告趣意第一点について。
所論は、被告人等は原判示Cに対し全然暴行を用いることなく原判示Dを通じて
その承諾を得た上姦淫に及んだもので決してその抗拒を著しく困難ならしめる程度
の暴行又は脅迫を加えた事実はないのであるから原審がこれについて強姦罪の成立
を認めたのは当裁判所の判例(昭和二四年五月一〇日第三小法廷の判決)に違反す
る旨主張するけれども、第一審判決挙示の証拠を綜合すれば原判決の説示通りの理
由により被告人等が右Cに対しその抗拒を著しく困難ならしめる程度の脅迫を加え
て畏怖せしめ順次これを強姦した犯罪事実を認定するに十分であるから、原判決の
この点についての判断は正当であり、その説示は右判例の趣旨に適合するものであ
つて、所論のような法令又は判例に違反するところはない。所論は採るに足りない。
同第二点について。
所論は量刑不当の主張であつて上告適法の理由とならない。
被告人Eの弁護人保持時夫の上告趣意第一点について。
所論は憲法三七条二項違反を主張するけれども、憲法の同条項は裁判所は被告人
又は弁護人からした証人申請に基きすべての証人を喚問し不必要と思われる証人ま
でをも悉く尋問しなければならないという趣旨のものではないこと、既に当裁判所
の判例とするころである(昭和二三年(れ)二三〇号同年七月二九日大法廷判決参
照)。従つて原審が弁護人から所論の証人Cの再尋問の申請があつたのにこれを却
下したことは記録上明らかであるが、右却下はなんら右憲法の条項に違反するもの
ではなく適法である。論旨は採用することができない。
同第二点について。
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所論は判例違反を主張するけれども如何なる判例に違反するか具体的に明示しな
いから上告適法の理由とならない。
同第三点について。
所論は量刑不当、事実誤認の主張に過ぎず上告適法の理由とならない。
また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和三〇年一一月二二日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 垂 水 克 己
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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